企業経営理論 平成30年度 第18問 組織学習

平成30年度 第18問 組織学習

変化が激しい環境に適応する組織にとって、組織学習を促進していくことは不可欠である。組織学習に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア シングルループ学習とは、ある目的とそれを達成するための行為の因果関係に
ついての知識を、一度見直すことを意味する。

イ 組織内の人々は役割が規定され、その成果によって評価されるために、環境の
変化に対応した新しい知識を獲得しても、それを直ちに個人や組織の行動の変化
に反映できないことがある。

ウ 高い成果をもたらした組織のルーティンは、繰り返し使用することによって、
より高い成果を生み出すことにつながるため、慣性の高い組織の方が長期適応す
る能力は高くなる。

エ 低次学習よりも高次学習を促進するためには、明確なコンテキストのもとで、
ある行為の結果に関する大量の情報を処理し、その行為の有効性を評価する必要
がある。

オ 部門間を緩やかな結合関係にすることによって、傍観者的学習の可能性が低下
するため、組織は全体として環境の変化に適応しやすくなる。




解答解説

ア シングルループ学習とは、ある目的とそれを達成するための行為の因果関係
ついての知識を、一度見直すことを意味する
☓:適切でない
ある業務の目的と達成するための行為そのものを見直すような学習ではない。

イ 組織内の人々は役割が規定され、その成果によって評価されるために、環境
の変化に対応した新しい知識を獲得しても、それを直ちに個人や組織の行動の変化
に反映できないことがある。
○:適切である
現状の組織内では、そこで規定された役割とその成果によって評価される為、
新しい知識を直ちに組織の変化に反映できないことがある

ウ 高い成果をもたらした組織のルーティンは、繰り返し使用することによって、
より高い成果を生み出すことにつながるため、慣性の高い組織の方が長期適応す
る能力は高くなる
☓:適切でない
長い期間ということは、環境の変化が起こりうると考える。
その場合、慣性の高い(既存のルーティンを繰り返しがちな)組織では対応
しにくい。

エ 低次学習よりも高次学習を促進するためには、明確なコンテキストのもとで、
ある行為の結果に関する大量の情報を処理し、その行為の有効性を評価する必要
がある。
☓:適切でない
コンテキストとは「文脈」のことである。コンテキストが明確であるという
ことは、因果関係が明確に行為の結果が出ているということである。
この際に促進されるのは、低次学習である。

オ 部門間を緩やかな結合関係にすることによって、傍観者的学習の可能性が低下
するため、組織は全体として環境の変化に適応しやすくなる
☓:適切でない
傍観者的学習とは、個人学習の成果が組織に生かされないことである。部門間が
緩やかな係合関係になることで、意思疎通の頻度が低下すると、傍観者的学習の
可能性が高まり、組織として環境の変化に適応しづらくなる。

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