企業経営理論 平成30年度 第5問 業界の構造分析


平成30年度 第5問 業界の構造分析
マイケル・ポーターによる業界の構造分析に関する記述として、最も適切なものはどれか。


ア 価値連鎖(バリューチェーン)を構成する設計、製造、販売、流通、支援サービ
スなどの諸活動において規模の経済が働くかどうかは、その業界構造を決定する
要因であり、多数乱戦(市場分散型)業界では、すべての諸活動において規模の経
済性が欠如している。

イ 継続的に売り上げが減少している衰退業界においては、できるだけ早く投資を
回収して撤退する戦略の他に、縮小した業界においてリーダーの地位を確保する
ことも重要な戦略の 1 つである。

ウ 成熟業界においては、新製品開発の可能性が少なく、成長が鈍化するために、
多くの企業は、プロセス革新や現行製品の改良に力を入れるようになり、企業間
のシェア争いは緩やかになる。

エ 多数乱戦(市場分散型)業界は、ニーズが多様であること、人手によるサービス
が中心であることが特徴なので、集約・統合戦略は、この業界には適さない戦略
である。


解答解説

マイケル・ポーターの業界の構造分析の論点


ア 価値連鎖(バリューチェーン)を構成する設計、製造、販売、流通、支援サービ
スなどの諸活動において規模の経済が働くかどうかは、その業界構造を決定する
要因であり、多数乱戦(市場分散型)業界では、すべての諸活動において規模の経
済性が欠如している。
☓:適切でない
多数乱戦(市場分散型)業界でも、規模の経済が発揮できる機会はある。

イ 継続的に売り上げが減少している衰退業界においては、できるだけ早く投資を
回収して撤退する戦略の他に、縮小した業界においてリーダーの地位を確保する
ことも重要な戦略の 1 つである。
○:適切である
衰退業界においてもリーダーの地位を獲得する戦略は存在する。

ウ 成熟業界においては、新製品開発の可能性が少なく、成長が鈍化するために、
多くの企業は、プロセス革新や現行製品の改良に力を入れるようになり、企業間
のシェア争いは緩やかになる。
☓:適切でない
企業間のシェア争いは激化する。

エ 多数乱戦(市場分散型)業界は、ニーズが多様であること、人手によるサービス
が中心であることが特徴なので、集約・統合戦略は、この業界には適さない戦略
である。
☓:適切でない
多数乱戦(市場分散型)業界でも、多数の企業を少数の企業に集約・統合する戦略で、
利益を獲得できる可能性はある。

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