企業経営理論 平成30年度 第6問 価値連鎖(バリューチェーン)

平成30年度 第6問 価値連鎖(バリューチェーン)

価値連鎖(バリューチェーン)のどれだけの活動を自社の中で行うかが、その企業の垂直統合度を決めると言われている。自社の中で行う活動の数が多いほど、垂直統合度が高く、その数が少ないほど垂直統合度が低いとした場合、ある部品メーカーA社が垂直統合度を高める理由として、最も適切なものはどれか。

ア A社の部品を使って完成品を製造している企業は多数存在しているが、いずれ
の企業もA社の部品を仕入れることができないと、それぞれの完成品を製造でき
ない。

イ A社の部品を作るために必要な原材料については、優良な販売先が多数存在し
ており、それらの企業から品質の良い原材料を低コストで仕入れることが容易で
ある。

ウ A社の部品を作るために必要な原材料を製造しているメーカーは、その原材料
をA社以外に販売することはできない。

エ A社の部品を作るために必要な原材料を製造しているメーカーが少数であり、
環境変化により、A社はこれらの原材料の入手が困難となる。

オ A社は、A社の部品を作るために必要な原材料を製造しているメーカーとの間
で、将来起こりうるすべての事態を想定し、かつそれらの事態に対してA社が不
利にならないようなすべての条件を網羅した契約を交わすことができる。





解答解説

ア A社の部品を使って完成品を製造している企業は多数存在しているが、いずれ
の企業もA社の部品を仕入れることができないと、それぞれの完成品を製造でき
ない。
☓:適切でない
いずれの企業に対してもA社の影響力が高いので、垂直統合を高める理由とはならない。

イ A社の部品を作るために必要な原材料については、優良な販売先が多数存在し
ており、それらの企業から品質の良い原材料を低コストで仕入れることが容易で
ある。
☓:適切でない
多数の取引先からいい条件で仕入れることが出来ている為、垂直統合を高める理由とはならない。

ウ A社の部品を作るために必要な原材料を製造しているメーカーは、その原材料
をA社以外に販売することはできない。
☓:適切でない
A社にとっては、独占的に仕入れることができている状況なので、垂直統合を高める理由とはならない。

エ A社の部品を作るために必要な原材料を製造しているメーカーが少数であり、
環境変化により、A社はこれらの原材料の入手が困難となる。
○:適切である
原材料を供給できるメーカーが少数で、環境の変化により、入手が困難になるということは、A社にとっては安定した調達ができなくなる可能性がある。それを回避するために、垂直統合を高める理由となりうる。

オ A社は、A社の部品を作るために必要な原材料を製造しているメーカーとの間
で、将来起こりうるすべての事態を想定し、かつそれらの事態に対してA社が不
利にならないようなすべての条件を網羅した契約を交わすことができる。
☓:適切でない
このような完備契約(全ての事態に対応した契約)が行われれば、A社の調達は安定するので、垂直統合を高める理由とはならない。

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