企業経営理論 平成29年度 第7問 解説


平成29年度 第7問
企業の競争戦略と持続的な競争優位に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 競争戦略の実行に不可欠な独自の経営資源を持ち、製品市場における規模の経
済を実現できれば、代替製品の脅威は事業の収益性に影響を与えず競争優位の源
泉となる。

イ 経路依存性のある経営資源は、模倣を遅らせることで市場における競争者の脅
威から先発者を保護する。

ウ 顧客からの強い支持を受ける製品差別化は、競合他社との間の競争に勝ち抜く
手段である以上に、他社との競争を可能な限り回避できる自社市場構築の手段と
なる。

エ 差別化した製品と標準的な製品の機能的な差が小さくなるほど、差別化した製
品を選好する顧客の割合は低下するが、標準的な製品よりも高い価格を設定し、
差別化した製品で高い収益性を確保しようとする場合、できるだけ多くの顧客を
対象とすると戦略上の矛盾を生み出す。

オ スイッチング・コストの発生する状況では、買い手側は、現在使用する製品や
サービスと他の代替的な製品・サービスと価格や機能が同じであったとしても、
別のものとして見なす。





解答解説

ア 競争戦略の実行に/不可欠な/独自の/経営資源を持ち/、製品市場における/
規模の経済を/実現できれば/、代替製品の脅威は/事業の収益性に/影響を与えず/
競争優位の源泉と/なる/。
☓:適切でない
独自の資源を持ち、規模の経済を実現することは、競争優位の源泉になりうるが、
代替品の出現は事業の収益に影響を及ぼす。

イ 経路依存性のある/経営資源は/、模倣を遅らせることで/市場における/
競争者の/脅威から/先発者を保護する/。
○:適切である
模倣を遅らせることは保護に繋がる。

ウ 顧客からの/強い支持を受ける/製品差別化は/、競合他社との間の/競争に/
勝ち抜く手段である以上に/、他社との競争を/可能な限り回避できる/自社市場
構築の/手段となる/。
○:適切である

エ 差別化した製品と/標準的な製品の/機能的な差が/小さくなるほど/、
差別化した製品を/選好する顧客の割合は低下するが/、標準的な製品よりも/
高い価格を設定し/、差別化した製品で/高い収益性を確保しようとする場合/、
できるだけ多くの顧客を/対象とすると/戦略上の矛盾を/生み出す/。
○:適切である
高価格で製品差別化戦略をとる際は、対象顧客を絞り込むと考える。すると、できるだけ多くの顧客を対象とするのは矛盾する。

オ スイッチング・コストの/発生する状況では/、買い手側は/、現在使用する
製品や/サービスと/他の代替的な製品・サービスと//価格や/機能が/同じで
あったとしても/、別のものとして見なす/。
○:適切である
スイッチングコストとは、新しい商品への切替時に掛かる費用。
同じ機能の製品であっても、他社製品への乗り換えで新規に費用が掛かるような
場合は、別のものと一緒ということ。

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