企業経営理論 平成30年度 第3問 VRIO分析


平成30年度 第3問 VRIO分析

企業の経営資源に基づく競争優位を考察する VRIO フレームワークにおける模
倣困難性は、持続的競争優位を獲得するために必要な条件とされている。この模倣
困難性に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア A社が、模倣対象のB社が保有する経営資源やケイパビリティと、B社の競争
優位の関係を理解しているか否かは、A社がB社の模倣を行う時のコストに影響
を与える要因にならない。

イ C社が、新規事業に必要不可欠な経営資源を、その将来における最大価値を下
回るコストで入手した場合、競合会社D社が、C社より相当に高いコストでも同
様の経営資源を獲得できる限り、C社の経営資源に模倣困難性はない。

ウ 最先端の機械Eを使いこなすために熟練技能者同士の協力関係が必要であり、
かつ、熟練技能者同士の協力関係の構築に相当な時間とコストを必要とする場
合、最先端の機械Eを所有しているだけでは、模倣困難性による持続的競争優位
の源泉にはならない。

エ 相当な時間を要して獲得したF社のノウハウやネットワークが、優れた製品を
生み出すための重要な要素で希少性もあり、また競合会社が短期間で獲得するに
はコスト上の不利が働くとしても、F社の模倣困難性を持つ経営資源にはなりえ
ない。




解答解説

適切なのは ウ

ア A社が、模倣対象のB社が保有する経営資源やケイパビリティと、B社の競争
優位の関係を理解しているか否かは、A社がB社の模倣を行う時のコストに影響
を与える要因にならない
☓:適切でない
A社が模倣対象のB社の資源やケイパビリティを理解していない場合、理解している
場合に比べて、模倣コストが増加することが考えられる為、影響を与える要因と
なりうる。

イ C社が、新規事業に必要不可欠な経営資源を、その将来における最大価値を下
回るコストで入手した場合、競合会社D社が、C社より相当に高いコストでも同
様の経営資源を獲得できる限り、C社の経営資源に模倣困難性はない
☓:適切でない
競合のD社がC社より高いコストで同様の経営資源を獲得しているということは、
模倣困難性がD社のほうが高いということである。つまり、C社の方が優位という
意味で、模倣困難性がないとはいえない。

ウ 最先端の機械Eを使いこなすために熟練技能者同士の協力関係が必要であり、
かつ、熟練技能者同士の協力関係の構築に相当な時間とコストを必要とする場
合、最先端の機械Eを所有しているだけでは、模倣困難性による持続的競争優位
の源泉にはならない。
○:適切である
機会Eを使いこなすために技能者同士の協力関係が必要で、その構築に時間とコ
ストを必要とする場合、協力関係を構築すること自体の模倣困難性が高いという
ことである。
つまり、機会Eを所有しているだけでは、模倣困難性による持続的競争優位の源泉
になっているとはいえない。

エ 相当な時間を要して獲得したF社のノウハウやネットワークが、優れた製品を
生み出すための重要な要素で希少性もあり、また競合会社が短期間で獲得するに
はコスト上の不利が働くとしても、F社の模倣困難性を持つ経営資源にはなりえ
ない
☓:適切でない
時間を要して獲得し、生産上の重要な要素で、希少性を有し、競合が短時間で
獲得するには、コスト上の不利が働く場合、模倣困難性を持つ経営資源といえる。

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