企業経営理論 平成28年度 第3問 コアコンピタンス・ライセンシング・買収


平成28年度 第3問 コアコンピタンス・ライセンシング・買収

近年、自社の経営資源を活用して成長を図る内部成長とともに、外部企業の経営
資源を使用する権利を獲得するライセンシングや、外部企業の持つ経営資源を取得
して成長を目指していく買収が活発になっている。これらの戦略に関する記述とし
て、最も適切なものはどれか。

ア 相手企業のコア・コンピタンスとなっている技術を自社に吸収し、自社の技術
水準を上げていくためには、買収よりも独占的ライセンシングを活用する方が適
している。

イ 既存の事業が衰退期に入っている場合、当該業界における市場支配力を高める
には、既存の経営資源を活用するための投資を増強していく内部成長よりも、競
合企業を買収する方が適している。

ウ 国内で高価格な製品を製造・販売している企業が、新興国で新たに低価格製品
を販売して短期間のうちに軌道に乗せるためには、現地の同業企業を買収するよ
りも、独自に販売ルートを開拓していく内部成長の方が適している。

エ 製品メーカーが、稀少性の高い原材料メーカーとの取引を安定化し、取引費用
の削減をしていくためには、買収によって自社に取り込むよりも、ライセンシン
グによって関係を構築する方が適している。




解答解説

ア 相手企業のコア・コンピタンスとなっている技術を自社に吸収し、自社の技術
水準を上げていくためには、買収よりも独占的ライセンシングを活用する方が適
している
☓:適切でない
コアコンピタンスとは、有形、無形の複数の経営資源を組み合わせた独自の
組織力であり、模倣困難性が高いものである。
つまり、ライセンス等で取得しても他社ですぐに活用できるものではない。
組織ごと買収した方が活用の有効性が高い。

イ 既存の事業が衰退期に入っている場合、当該業界における市場支配力を高める
には、既存の経営資源を活用するための投資を増強していく内部成長よりも、競
合企業を買収する方が適している。
○:適切である

ウ 国内で高価格な製品を製造・販売している企業が、新興国で新たに低価格製品
を販売して短期間のうちに軌道に乗せるためには、現地の同業企業を買収するよ
りも、独自に販売ルートを開拓していく内部成長の方が適している
☓:適切でない
新興国での販売は国内と比べ、製品の性質、市場も異なるため、現地の企業との
を買収した方がスムーズに販売ルートを開拓できる。

エ 製品メーカーが、稀少性の高い原材料メーカーとの取引を安定化し、取引費用
の削減をしていくためには、買収によって自社に取り込むよりも、ライセンシン
グによって関係を構築する方が適している
☓:適切でない
希少性の高い原材料メーカーとのライセンス契約は、売り手の交渉力が強く、
取引自体が不安定とも言える。
安定化、費用削減を検討しているのであれば、買収の方が適する。

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